劇症型溶連菌感染症に対し、皮膚科医として考えること・・足白癬の治療の重要性について・・ 2024年7月16日
昨日は海の日。連休中ずっと雨模様で、やっと午後から陽ざしが出てきました。
今年の関東地方は梅雨らしい梅雨ではなかった印象ですが、このまま梅雨明けなのでしょうか??
今年は6月から本当に暑くて、私も先週は熱中症ぎみでした。皆様は如何お過ごしですか?
今週末は感染症について勉強する機会があり、今年急拡大している人食いバクテリアとも呼ばれている「劇症型溶溶連菌感染症」について、厚生労働省、NIID国立感染症研究所、東京都感染症情報センターなどの最新の情報を集め調べてみました。
昨年2023年に過去最多の941人のデータをさらに上回り、2024年の6月23日時点の速報値で1101人と増加傾向にあります。
初期症状は発熱や手足の腫れや痛みですが短時間で容態が急変し敗血症ショックや手足の壊死、多臓器不全を起こし、致死率3割といわれています。
年齢別には中高年の感染が多くなっています。
感染経路は傷口から溶連菌が体深くに侵入して急速に増大するともいわれており、また接触感染でも侵入します。
国立感染症研究所によると感染経路は傷口などからの感染が44%と最も多く、ついで感染経路不明が35%、また9%が飛沫による感染とみられるとのことです。(一方妊産婦さんの感染経路のデータでは、7割が鼻やのどの上気道からの感染が推定されました)
厚生省からの感染対策のパンフレットでは通常の手洗い、手指消毒、咳エチケット、傷の清潔な処置という記載のみなのですが、皮膚科医からみたそれ以外の感染対策をお話したいと思います。まずは
- 1.傷を作らない
- 2.靴ずれをしないように
- 3.虫に刺されにくいような服装を心がけ、半袖は仕方ないとしても短パンでなく、長ズボンを、またサンダルに素足はお勧めではなく、せめて靴下を履いてほしいと思います。虫刺されも、かくことで傷ができ菌が入る恐れがあり、早めに薬を塗って傷を治すこと、ささくれ、あかぎれ部位な乾燥による傷ができないように保湿することもお勧めします。
また女子医大、菊池賢先生によりますと、先生が診察した劇症型溶連菌感染症の患者さん8割が足に白癬菌をもっていたそうで、皮膚科医としては足白癬の治療もしっかりしてほしいと考えます。
足白癬はそれ以外に創部から細菌感染により蜂窩織炎をおこすこともあります。
また金曜に診察をしてくださっている延山先生が足白癬が足の裏のメラノーマ(メラノサイトのガン)に相関があると報道発表しました。
「足白癬は治療は必要がないのでは?」と、時々患者様がおっしゃることがあるのですが、上記理由もあり是非治療をお勧めしたいと思っています。
さて、私の都合で、クリニックは8月3日(土曜)、6日(火曜)、7日(水曜) 8日(木曜)をお休みさせていただきます。
8月の診療日について
8月2日(金曜)、5日(月曜)は延山先生が診察します。
いろいろご迷惑をおかけいたしますが、どうぞ宜しくお願いします。
写真は7月の鬼怒川です。鮎釣りをしている人たちが見えます。いよいよ夏本番ですね。