第42回美容皮膚科学会総会のトピックスをお話します・・2024年10月20日
先日日本被団協がノーベル平和賞に選ばれ、とても嬉しく感動しました。地道な活動を長年に渡りずっと続けてきた方々の努力と忍耐は如何ばかりだったかと思いを馳せました。もうご存命でない方々も多いと報道で知り、今回こうやって日の目を見ることは、本当に良かった!と思います。過去の苦しい経験を二度と起こさないために、未来を見据えた絶え間のない活動を続けていることに尊敬の念を抱くと同時に、信念をもって継続していけばいつか報われる日が訪れることに勇気をもらった気持ちです。
さて先日お話しましたように、台風の影響で東海道新幹線が止まり、名古屋で開催された美容皮膚科学会総会に出席できなかったため、オンデマンド配信を待っておりました。配信後すべて観まくりました(本当に時間の許す限り、何度も観つくしたという感じで、主人にいい加減にしたら?と言われ続けておりました(苦笑))今回の美容皮膚科学会総会は比較的体系的な、基本に沿ったシンポジウムが主体でした。
まず、しみのセッションでは、IPL(フォトフェイシャル)はやはり長期にわたり大変すばらしい成績を残していることを再認識しました。レーザーに関しては、当院でもあるQスイッチレーザ-とピコ秒レーザーとの治療成績のデータもありましたが、表在性の色素斑(いわゆるシミ)に関してはほぼ同等で、真皮のメラニン病変に関してはピコ秒のほうが成績は良いとの結果でした。今回IPLの手背での有効な症例もあり、手背の色素斑やテクスチャに対し、是非IPL治療をしてみたいと思いました。また640nmや695nmなどの長波長(深めに入る)のIPL照射も回数をしっかりすることにより色素斑だけでなく、皮膚の張りなどアンチエイジングにつながるとの話も興味深く感じました。また今回「男性美容」という初のシンポジウムもありました。時代のニーズを反映するものと思いますが、IPLを使用して先ほどの640nmなどの長波長を継続することで男性の顔の色素斑、張りなどのアンチエイジングに対し効果があると感じました。
しわ、たるみ機器に関しては、ハイフとRF(高周波)との組み合わせた複合的な治療を推奨しており、ハイフに関してはこれまで皮下脂肪層の下部に存在する皮下繊維構造(SMAS/retaining ligament)を4.5㎜のチップでしっかり照射することに重点をおいてきたが、3㎜、2㎜のチップで真皮深層から中層にしっかり熱を加えることをより重要視するべきなのではという意見もありました。照射法なども含め、更に検討を加えていきたいと思います。
興味深かったこととして、教育講演の中に今回エクソソームを取り上げたことです。ニュースなどでも取り上げていますが、令和5年12月時点で、エクソソームを含む細胞外小胞を用いた医療行為においてその有効性についての臨床研究レベルでの評価は完了していないとの見解を示しています。将来的にエクソソームを用いた再生医療は進んでいくことと思いますが、現時点ではまだ使用はすべきでないと理解しました。
「酒さ」は、ここ最近美容皮膚科領域でも教育講演などでとりあげられるテーマになりました。酒さの症候のなかで、毛細血管拡張や皮脂腺開大に対してIPLやマイクロニードルRF(ポテンツア)は適応であり、効果があると発表されていました。これからも酒さ患者様にIPLやポテンツアの治療経験を更に積んでいきたいと考えています。また酒さの患者様の毛細血管拡張が治療により改善していくことを可視化、数量化する解析機器も取り入れる必要があると考えています。今回はシンポジウムの中に計測機器のセッションがあり、専門的に紹介されていて大変勉強になりました。近いうちに酒さの血管拡張の定量化をする機器など、当院でも導入することを検討しています。また同時に酒さの病変部では角層水分量が少なく、乾燥肌傾向にあり、更に易刺激性傾向にあります。酒さのスキンケアのポイントとして角層へ水分を補うことが必要ですが、それに関して化粧品もいくつか検討していますが、一方で何か機器がないかと考え、先週から微細水粒子である「AIRアイル」のデモ機器を借りています。ご興味がある方は是非お声をかけてください。以上まだまだ書きたいことはあるのですが、今年の美容皮膚科学会のトピックスを書かせていただきました。
写真は8月にフィレンツエ郊外のヴィラ・サン・ミケーレというホテルにランチに行った時にあまりにも美味しくて感激して撮影したオリーブオイルです・・実は先日主人が帰ってくるなり、「あのオリーブオイルがディーンデルにあったよ!」と、何と同じものをゲットできました!
ヴィラ・サン・ミケーレは、16世紀にミケランジェロが設計したと言われているのですが、フィレンツエから車で20分ほどなのに、トスカーナの景色を彷彿とさせる、緑あふれ、花の甘い匂いが漂う楽園のような場所でした。フィレンツエを訪れる機会がございましたら、ぜひお勧めです。
次回からスタッフリレーに入ります。やる気に満ちあふれるナーススタッフが入りました。 受付スタッフも募集をしておりますので、ご応募お待ちしています。